木原幸志郎 個展「Scene」
〈ARTDYNE・東京〉 2024/1/13-2/4
この度、ARTDYNEは2024年1月13日(土)~2月4日(日)までの期間、木原幸志郎個展「Scene」を開催いたします。
木原幸志郎は1997年に兵庫県で生まれ、2022年に尾道市立大学大学院美術研究科美術専攻を修了。現在、双子の弟である木原健志郎と兵庫県の共同アトリエで制作を行っています。
木原は、「具象」vs「抽象」、「事実」vs「虚構」、「瞬間」vs「永遠」のように、相反するもの同士が交錯する世界の創生を一貫して試み、新しい絵画の枠組みを追及しています。作品はモチーフを粘土等で綿密に自作し、それを注意深く撮影した画像を下敷きとして油彩画を立ち上げるという制作過程を辿ります。撮影という行為によって二次元化された画像では、通常人が見ている「もの」と、カメラという機械を通して初めて見えてくるズレやボケ、荒い粒子などで表される「もの」とのギャップが尖鋭化されます。その撮影画像を元にして描くことで、対象モチーフの具象化と、色彩の物質化・抽象化が同画面上で展開されていきます。
今回の新作個展「Scene」では、これまでのある種の「重力」を持った作品群とは対照的に、セロハン紙のような透明感のあるモチーフが描かれ、軽やかに画面上を踊ります。ブランクーシに代表される近代以降の彫刻作品が重力からの離脱を図ったように、絵画における「重力」との新しい関係性を感じさせる展示空間の創出が期待されます。
今展では木原幸志郎の新作12点を展示販売いたします。この機会にぜひ皆様のご高覧、ご高評をいただきたく存じます。なにとぞよろしくお願いいたします。
アーティスト・ステートメント
今回の個展作品は、セロハンや塗料そのものをモチーフにし、油絵具で描いている。そうして描いているうちに、不思議な感覚を覚える瞬間が多々あった。私が描いているものは一体何なのだろうか。セロハンを写実的に描いているのか、それとも単にキャンバス上に色を塗っているだけなのか。塗料を描いたのか、それとも油絵具が置かれただけなのか。画面上に表れるのはいずれも色面であり、それは色を色で描いているような感覚である。自身の視覚や思考が次第に交錯し、私が向き合っているものは具象なのか、抽象なのか、両者が次第に溶け合って曖昧になっていくようだった。
このような視覚と思考による実験をキャンバス上で試みたのが今回の個展である。私はこれらの制作を通して、普段見過ごしてしまうような当たり前の現象や自然の摂理の美しさに目を向けることが出来るのである。
木原幸志郎